はじめに
AIモデルの学習処理を正常に動作させるためには、CUDAとcuDNNのセットアップが重要なポイントの一つである。 今回、セットアップで得た知見をもとに、Windows11の環境にNVIDIA CUDA Toolkit v11.8とcuDNN SDK v9.2をインストールする手順を解説する。
実施した環境
ツール | バージョン | 備考 |
---|---|---|
OS | Windows11 Pro | |
GPU | GeForce RTX 3060 | NVIDIA |
CUDA対応GPUの一覧は、以下のURLで確認可能。 developer.nvidia.com
Visual Studioのインストール
CUDAを動作させるためには、Visual Studioのコンパイラファイルである「cl.exe」が必要となる。
そのため事前にVisual Studio2022のインストールが必要となるため、以下のURLからインストーラーをダウンロードしインストールを実行する。(詳細な手順は以下のURLを参照。)
docs.microsoft.com
Visual Studioの設定
インストール時には「C++によるデスクトップ開発」にチェックを入れ、オプションで「MSVC v143 - VS 2022 C++ x64/x86 ビルド ツール(最新)」が選択されていることを確認する。
CUDA Toolkitのダウンロードとインストール
以下のURLからCUDA Toolkitをダウンロードし、インストールする。 developer.nvidia.com
今回はCUDA v11.8を使用するが、フレームワークやアプリケーションによって対応バージョンが異なるため、必ずしも最新版を使用する必要はない。
システム環境変数の設定
インストール後、以下のシステム環境変数が正しく設定されていることを確認する。
変数名 | 値 |
---|---|
PATH | C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8 |
CUDA_PATH_V11_8 | C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8 |
CUDA_PATH | C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8\bin |
設定が完了したら、PCを再起動することを推奨する。再起動を行わない場合、環境変数の変更が反映されないことがある。
PATHの確認
コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行してPATHが正しく通っていることを確認する。
nvcc -V
cuDNNのインストール
以下のURLからcuDNNをダウンロードする。ダウンロードにはNVIDIAのアカウントが必要となるため、事前にアカウントを作成すること。 developer.nvidia.com
cuDNNの設定
ダウンロードしたファイルを解凍し、cuDNNフォルダ内のcuda
フォルダの内容を以下のディレクトリにコピーする。
C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8
さらに、システム環境変数に新規変数を追加する。
- 変数名: CUDNN_PATH
- 値: C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit\CUDA\v11.8
設定が完了したら、再度PCを再起動する。
cuDNNの確認
再起動後、コマンドプロンプトを開き、以下のコマンドを実行してエラーが出ないことを確認する。
where cudnn64_8.dll