Linux MintをWindows 11にWSL2でインストールし、XRDPでリモートデスクトップ接続する方法

はじめに

この記事では、WSLDLを使ってWindows 11のWSL2上にLinux Mintをインストールする手順を解説する。
また、リモートデスクトップを使ってLinux Mintのデスクトップ環境にアクセスする方法も紹介する。Windows 11上でLinuxを活用したい方はぜひ参考にしてほしい。

WSLとは?


WSLWindows Subsystem for Linux)は、Windows上でLinuxカーネルをネイティブに動かすことができるLinux環境を提供する機能。 WSL1のベータ版が2016年8月に、正式版が2017年10月に公開され、その後2019年2月にはよりパフォーマンスが向上したWSL2が公開された。 WSLを使うと、Windows OSを通常どおり使いながらLinuxも同時に動かすことが可能となる。

WSLDLとは?


WSLDLは、任意のLinuxディストリビューションを簡単にWSL上にインストールできるツールを開発するプロジェクトのこと。 これを使えば、各Linuxディストリビューションのインストール作業がコマンド操作のみで完了する。通常のインストールプロセスよりも簡単にLinux MintをWSL2上に導入できる。

■ プロジェクトのURL
WSLDL GitHub Repository

インストール手順

WSL2とWSLDLの準備

Linux Mintをインストールする前に、まずはWSL2Windows 11上で有効化し、WSLDLをダウンロードする必要がある。
以下の手順に従って準備を進める。

WSL2の有効化手順

PowerShellを管理者権限で起動し、以下のコマンドを実行する。これにより、WSL2がインストールされる。

wsl --install

このコマンドでWSL(Windows Subsystem for Linux)がインストールされ、再起動後に使用可能になる。

WSLのバージョン2をデフォルトとして設定するため、以下のコマンドを実行する。

wsl --set-default-version 2

この設定により、インストールされるWSLディストリビューションが自動的にWSL2となる。

Windowsを再起動し、インストールを完了させる。

WSLDLのダウンロード

Linux Mint用のWSLDLリポジトリにアクセスし、最新バージョンをダウンロードする。

Linux Mint用のWSLDLリポジトリ
Linux Mint WSLDL GitHub Repository

■ 最新バージョンのダウンロードURL
最新バージョンのリリースページ

Download」をクリックして、Linux MintのWSL用インストーラのzipファイルををダウンロードする。

ダウンロードできるバージョンとしては、「LinuxmintWSL2.zip」と「LinuxmintlmdeWSL2.zip」の2つがある。
lmdeLinux Mint Debian Edition)とは、UbuntuベースのMint LinuxDebian Testingベースに置き換えたLinuxディストリビューションのことである。

今回は通常のUbuntuベースのLinuxMintをインストールしたいので、「LinuxmintWSL2.zip」をダウンロードする。

Linux Mintのインストール

次に、WSLDLを使ってLinux MintをWSL2にインストールする手順を示す。

ダウンロードしたzipファイルを解凍する。
解凍した「mint.exe」と「root.tar.gz」が含まれるフォルダを適切な場所に配置する。
(今回は%LOCALAPPDATA%\Packages配下に格納)

mint.exe」をダブルクリックして実行する。

インストールが開始され、WSL2上にLinux Mintがセットアップされる。
インストール完了後、フォルダ内にext4.vhdxが生成されていることを確認する。

wsl -l

このコマンドで、インストール済みのWSLディストリビューションを確認することができる。

LinuxMintの起動

以下のコマンドを実行して、Linux Mintを起動する。

wsl -d Mint

起動に成功すると、上記のように表示された後、ユーザーを作成するかどうか選択肢が表示される為、
1(Yes)を選択、ユーザー名(例:Yamaneko)、パスワードを入力しユーザーを作成する。 ユーザー作成完了後、LinuxMintが起動する。

LinuxMintの初期設定

インストール後、以下の手順でLinux Mintの初期設定を行う。

パッケージのデータベースを最新化

以下のコマンドを実行して、システムのパッケージデータベースを更新する。

sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade

日本語関連についてセットアップ

ロケールの変更

以下のコマンドを実行して、ロケール設定を日本基準に設定する。

sudo localectl set-locale LANG=ja_JP.UTF-8
echo export LANG=ja_JP.UTF-8 >> ~/.bashrc

日本語言語パックのインストール

以下のコマンドを実行して、日本語言語パックをインストールし、セットアップする。

sudo apt-get install language-pack-ja-base language-pack-ja language-pack-gnome-ja-base language-pack-gnome-ja manpages-ja manpages-ja-dev

さらに、以下のコマンドを実行して、Windowsのフォントを参照できるように設定する。

sudo ln -s /mnt/c/Windows/Fonts/ /usr/share/fonts/windows
sudo fc-cache -fv

日本語マニュアルとmozcのインストール

sudo apt install manpages-ja manpages-ja-dev ibus-mozc

キー設定に日本語キーボード(jp106)をセットアップ

sudo localectl set-keymap jp106

この設定により、日本語環境が整備され、システム全体で日本語の表示が可能になる。

デスクトップ環境をインストール

以下のコマンドを実行して、LinuxMintのデスクトップ環境をインストールする。 LinuxMintには3つのデクストップ環境がある(「Cinnamon」「MATE」「Xfce」) 今回はCinnamonをインストールする。

sudo apt install mint-meta-core mint-meta-cinnamon

リモートデスクトップで接続

XRDPのインストールと設定

WSL2上のLinux MintにXRDPをインストールし、リモートデスクトップ接続を有効にするための設定手順を以下に示す。 XRDPをインストールする。

sudo apt install xrdp

このコマンドで、リモートデスクトップ接続用のXRDPがインストールされる。


XRDPのポート番号を変更

今回はWindowsホスト側でリモートデスクトップ接続を用いる為、使用ポートが重複する問題が生じる。
以下のコマンドを実行して、XRDPの受信ポート番号をデフォルトの3389から13389に変更する。

sudo sed -i -e 's/^port=3389/port=13389/g' /etc/xrdp/xrdp.ini

XRDPとD-Busを起動

以下のコマンドを実行して、XRDPとD-Busを起動する。

sudo service xrdp restart
sudo service dbus restart

リモートデスクトップからLinux Mintに接続

Windowsのスタートメニューから「リモートデスクトップ接続」を検索して起動する。
接続先アドレスとして「localhost:13389」を入力し、接続をクリックする。

接続に成功すると以下のポップアップが表示される為、「このコンピューターへの接続について今後確認しない」にチェックを入れて「はい」をクリックする。

XRDPのログイン画面が表示されるので、Linux Mint(WSL2)のユーザー名とパスワードを入力してログインする。

接続後、Linux Mintのデスクトップ画面(Cinnamon)が表示されたら完了。
(なぜか「Xfce」と表示されているが、UIのデザインから実態は「Cinnamon」だと判断して良いだろう)

まとめ

この記事では、WSLDLを使ってWindows 11のWSL2上にLinux Mintをインストールし、XRDPを用いてリモートデスクトップから接続する方法を解説した。
開発環境や学習用としてLinux Mintを利用したい場合に、この方法が役立つだろう。

参考文献